アドラーの「課題の分離」で悩みを手放そう

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心理学者アルフレッド・アドラーは「人間の悩みは全て対人関係の悩みである」という言葉を残しました。

健康面や金銭面での悩みを抱える人も多く、「全て」は言い過ぎではないかという疑問は生じますが、私たちは多くの人々に囲まれて生きており、大部分が対人関係の悩みであることは間違いないと思います。

対人関係の悩みが多い理由

そもそも、どうして対人関係の悩みが起きるのか?

それは、一人一人が違う環境の中で生まれ育ち、異なる価値観を持っているからです。

血の繋がった親子であっても全く違う人間なので、持っている価値観は異なります。

一緒に過ごす時間が長い場合、価値観が近くなることはあるかもしれませんが、それでも何から何まで完全に一致することはありません。

ましてや、血の繋がらない友人や同僚、夫婦間で価値観の不一致は起こって当然であり、理解し合えるなんて幻想だと思って良いでしょう。

「面白い」という言葉ひとつとってみても、興味深いのか、「可愛い」に近いのか、クスッとする程度なのか、お腹を抱えて笑い転げるほどなのか、人によって使うシーンはそれぞれですよね。

ひとつの言葉にたくさんの意味合いがあり、どういう場面でどういう表現をするのか、どういう受け取り方をするのかは実に千差万別です。

相手が自分と同じ人間じゃないのは分かっているはずなのに、人間はどういうわけだか、関係性が近ければ近いほど「この人は自分と同じ考えをしてくれるに違いない」「この人は、こういう反応を返してくれるに違いない」と勝手に思ってしまいます。(一体感

思っていたのと違う意見を言われたり、違う反応が返ってきたりすると、「どうして分かってくれないの!?」と怒り心頭になったり、裏切られたような悲しい気持ちになったりするわけです。

それでは、あなたは相手のことをどれだけ理解できているでしょうか?理解している「つもり」になっているだけではありませんか?

「こういう時、どうする?」と問いかけてみると、理解しているつもりの相手であっても意外と予想外の答えが返ってくるものです。

あなたが相手のことを100%理解できていないのと同じように、相手もあなたのことを100%理解できていないのは、ごく当たり前のことです。

あなたと相手は全く違う人間なのですから。

「課題の分離」を実践するには

さて、それでは、何か問題が起こったときのことを考えてみましょう。

問題の渦中にいると、頭の中がぐちゃぐちゃに散らかり、自分が何をすべきか分からなくなることってありませんか?

ひとつの問題に向き合っているだけならまだしも、問題が解決していないところに新たな問題が次々に発生し、優先順位が分からなくなったり。

本人としては目の前のことを一生懸命やっているつもりで悩みが絶えないわけですが、それって全部あなたが考えなくてはならないことでしょうか?

もしかしたら、あなたが考える必要のないことまで「自分がどうにかしなきゃいけない」と思い違いをしているかもしれませんよ。

あなたの課題であれば、もちろん、あなた自身が解決しなくてはならないので、しっかり考える必要があります。

けれど、他者の課題であれば、相手がどんな関係性であろうとも、基本的には、あなたが介入して良いものではありません。

あなたと相手は全く違う人間ですから、この人生で成すべきことも、解決していくべき課題も異なります。

例えば、子ども同士のケンカに入っていったり、恋人の借金を肩代わりしたり、相手の課題をあなたが無理矢理解決したとして、相手はそこから何かを得、成長することが出来るでしょうか?

表面的には問題が解決し、相手が感謝の言葉を伝えてきても、相手が成長したかどうかは別の話です。

もし、相手がそこから何も学ばず、ちっとも成長しなかったとしたら、あなたは相手の成長の機会を奪ったことになり、しばらく後に、きっとまた同じような問題が発生します。

その人の課題はその人が自分の力で解決するまでずっと、その人のもとに起こるようになっているのです。

身近にいる人間として、温かく見守ったり、アドバイスしたり、サポートしたりする必要がある場合もありますが、相手の課題は、あくまでも相手のものであり、責任を取れるのも相手だけです。

あなたの課題であっても同様です。

「あの人にアドバイスされたから、こうした」というのも、最終的な決定権はあなたにありますよね。アドバイスしてくれた人の責任にはなりません。あなたの課題に対して責任を取れるのは、あなただけです。

もし、あなたが今たくさんお悩みを抱えていらっしゃるなら、誰の課題なのかを一つ一つ考えてみても良いかもしれませんよ。

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